夢が忍者でなにが悪い

物心ついた時の夢は「忍者」

忍者のお仕事〜その1〜

私は忍者の前にで舞台デビューしました。
舞台は殺陣教室のイベントです。

初めてのステージ

初めてのステージは1対2の侍の立ち回り。そこで絡みと呼ばれる敵役でした。
1番簡単と言えば簡単です。初心者はまずこういう形で立ち回りに慣れていくんだと思います。

そして次に自分が芯と呼ばれる主人公になります。立ち回りの中で最も手数が多くて1番動きます。芯は全員を相手に殺陣をするので、動きを把握しないといけません。なので、芯が出来れば絡みに回る事も出来るのです。
逆に言えば、プロになると全員の動きを頭に入れる人がほとんどです。
自分の動きだけ覚えても、誰の次かいつどこに移動すべきかなど考えていると分からなくなるので。

常に考えて行動

あの人が斬りかかったら次は自分の番だ。では次の番が来るまでに移動しないと。あの人が斬りかかってる間に回り込めば不自然な移動に見えない。

などなど、決められた動きをただこなすだけでなく、動きの意味を理解して考えて落とし込むのが基本です。
それを殺陣教室に通いながら沢山学びました。

どんどん新しい生徒さんが入って来るので、慣れてる人が芯をする事もあれば、逆に新しい人が芯をして慣れてる人が絡みになるなど。
絡みが上手ければ上手い程、芯である主役が輝くのです。
逆に言えば、主役が全くの初心者でも絡みが上手ければそれなりに上手く見えるのです。

殺陣だけでなくドラマなどお芝居でも言える事ですね。
脇役と呼ばれるバイプレイヤーが凄く自然体で上手ければ、主役も引き立ちます。
立ち回りは数をこなせばこなす程、自分の間合い(斬りかかる時の距離)なども自然と身に付きます。そして次にどのように動けば良いかも瞬時に判断出来るようになるので無駄な動き、不自然な動きが無くなります。何より、ただ出番を待っている「待ち」を無くすことが出来ます。いわゆる「間を埋める」事が出来るんです。
相手の視線に反応したり、仲間がやられた時に反応したり、出番じゃ無い時でも芝居をする所は沢山あります。
それが自然と動けるようになるには数をこなすしかないんです。

刀という存在

刀を持てば人が変わると言われますが、当然と言えば当然ですよね。
だって包丁の何倍もの刃物を手に持ってるんですから。もちろん偽物ですけど。
しかしそれくらいの気持ちで立ち回りをしろと教わりましたので、今でも刀は怖い存在です。
竹光という木ではありますが、一歩間違えれば失明もしますし、刺さったり切れたりするので。
実際、私も横腹に刀傷が残ってます。
芯の方も勘で刺して来て、私も身動きが取れない状態の危険な手だったので仕方なかったのですが。

殺陣で最も重要な事

怪我は付き物だと思いますが、やはり怪我しない事が第1目標です。
本当に大事です。怪我なく無事に千秋楽までと軽く言えたもんじゃないです。
とにかく、「怪我をしない、させない」を心に刻んで小さな舞台から大きな舞台、どんな舞台でも経験を積んで行くことが忍者への最大の近道です。